婦人科について
婦人科は月経(生理)のお悩みから妊娠に関わること、子宮筋腫などの子宮の病気、更年期障害など、思春期から老年期まで女性特有の病気や症状を全般に扱う診療科です。以下のような場合、ちょっとしたことでもお気軽にご相談いただけます。
- おりものの異常に気づいたとき
- 月経痛や月経前の症状で困っているとき
- 不正出血があったとき
- 性交渉に関連して悩んでいるとき
- 更年期で辛いことが増えたとき
- 陰部になにか丸いものが出てきている
- 陰部のあたりが下がってきているような気がする
上記のほか、婦人科検診で子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症などの異常が指摘された場合、その精査も行っています。女性特有の不調は精神面も大きく影響しますが、本当に精神的な問題なのか、身体に異常は発生していないか、場合によっては内診なども行って判断していきます。診断の結果、手術などの治療が必要な際には医療機関もご紹介しております。また精神的な問題の場合は、精神科・心療内科をご紹介させていただく場合もあります。
月経(生理)不順
通常、月経は25日~38日の周期で起こるとされていますが、月経周期がこの範囲を外れてしまう状態が月経(生理)不順と呼ばれます。通常より遅い場合は「希発月経」、短い場合は「頻発月経」、また妊娠していないのに3カ月以上月経がない場合は「無月経(続発性無月経)」と呼ばれます。
月経不順の原因のひとつにホルモンバランスの乱れがあります。ホルモンバランスの乱れは、過度なダイエットや激しい運動、痩せ過ぎ、あるいは肥満、精神的・肉体的ストレス、疲労、環境の変化などによって引き起こされる場合があります。また卵巣の病気が原因であることもあります。比較的多いのが「多嚢胞性卵巣症候群」というもので、ほかに卵巣の腫瘍や早発卵巣不全といったものがあります。さらに脳下垂体の腫瘍や甲状腺機能障害、精神安定剤や抗がん剤などの薬剤の影響も原因として考えられます。
月経不順の治療としては、原因が分かっている場合はその改善を行います。病気が原因の場合はその治療を行います。月経不順が起こりやすい状態といわれる初経から間もない時期、あるいは閉経が近い時期ではひどい貧血などの症状が見られない場合、経過観察となることもあります。また月経不順では、ホルモンのバランスを整える効果が期待される低用量ピルを症状に応じて処方することがあります。
生理痛
生理痛(月経痛)は人それぞれで痛みの度合いも違いますし、痛い月と痛くない月がある場合もあります。また大人になるにつれて痛みが軽減されたり、逆に痛みが増したりということもあります。生理痛は決して我慢するものではありません。また病気が隠れている場合もありますので、生理痛がある場合はお気軽に受診ください。
生理痛の原因としてはストレスや月経に対する不安、緊張などの精神的な要因もありますが、子宮内膜で作られるホルモンに似た働きをする物質の影響や子宮内膜症、子宮筋腫といった子宮や卵巣の病気が原因の場合もあります。
症状としては腹痛や腰痛のほかに、吐き気、頭痛、イライラなどの精神不安、下痢などが生じることがあります。これらの症状によって日常の生活に影響を及ぼしてしまっている状態を「月経困難症」と呼びます。
治療としては痛み止めや低用量ピルの服用が症状緩和には有効です。また漢方薬を使用することもあります。子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因と考えられる場合は薬による治療のほか、手術が必要となることもあります。現時点で子宮内膜症と診断されなくても生理痛を放置すると子宮内膜症に進展することがわかっていますので、生理痛がある場合には一度受診されることをお勧めします。
子宮筋腫
子宮筋腫は30歳以上の女性の20~30%にみられるという珍しくない腫瘍です。がん(悪性腫瘍)ではありませんが、月経痛や月経量の増加、月経以外での出血、貧血、腰痛、頻尿などの症状があらわれ、また妊娠しにくい(不妊)、流産しやすい(習慣流産)などの症状もみられることもあります。この筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンによって大きくなり、閉経すると小さくなります。複数個できる場合が多く、できる数や大きさは患者さまによって様々です。
子宮筋腫は発生する場所によって粘膜下筋腫(子宮の内側)、筋層内筋腫(子宮の筋肉の中)、漿膜下筋腫(子宮の外側)に分けられ、どこにできたかによって症状が異なります。内側にできたものは小さくても症状が強く、逆に外側にできたものは大きくなっても症状がでない傾向があります。そのため、治療が必要かどうかは、できた場所や症状によって判断していく必要があります。
治療に関しては筋腫が小さく無症状の場合は治療の必要はありません。筋腫が大きい、症状が重く辛いといった場合は薬または手術による治療を行います。子宮筋腫を根本的に治す薬はまだないのですが、月経を止める薬による治療、またピル(経口避妊薬)を用いた治療が有効です。それにより筋腫が大きくなることを抑え、症状も緩和されることが期待できます。手術による治療では、子宮を全て取ってしまうもの、筋腫だけを取り除くものがあり、患者さまの状況やご希望を伺いつつ決定していきます。
性感染症
性感染症は基本的には性行為によって感染する感染症で、その種類としてはクラミジア、淋病、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、性器カンジダ、トリコモナス、HIVなどがあります。聞いたことがある名称も多いかと思いますが、間違った知識により自分で対処していると病状が悪化したり、不妊や子宮外妊娠の原因となったりもしますので、少し抵抗はあるかもしれませんが、性感染症が疑われる場合はお早めに専門の医療機関を受診ください。
症状は病気によって様々ですが、おりものの異常やかゆみ、痛み、臭いなどがあり、症状が出ない感染症も一部にはあります。薬による治療が有効で、各種の抗菌薬など、効果のあるものも多くあります。近年は梅毒などが増加傾向にあると言われており、注意が必要です。また、パートナーが感染している可能性もあり、その場合、再感染のリスクもあります。併せてパートナーの検査や治療を行うことも大切です。