予防接種について

予防接種について

ワクチンは人間の体に備わる免疫システムを利用したもので、予防接種ではこのワクチンを接種することにより、感染症への感染予防や、重症化の予防が期待できます。当院では子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)、インフルエンザワクチンなどの接種を行っています。

HPVワクチン
(子宮頸がんワクチン)

HPVワクチンとはヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)に対するワクチンで、子宮頸がんを予防することが目的のものです。子宮頸がんはワクチンで予防することのできる唯一のがんなのです。現在、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。

ヒトパピローマウイルスは性交渉によって感染すると考えられており、性的接触のある女性であれば、50%以上が生涯に一度は感染するとされています。子宮頸がんの95%以上はこのHPVが子宮頸部に感染することによって引き起こされると言われており、ほかに肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマなど様々な病気の発生に関わっています。特に近年では若い女性の子宮頸がんへの罹患が増加しています。

HPVワクチンの種類と効果について

HPVの中には子宮頸がんをおこしやすい種類(型)のものがあり、HPVワクチンはこのうち一部の感染を防ぐことができます。現在、日本国内で使用できるワクチンは防ぐことができるHPVの種類によって、2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード9)の3種類あり、すべて定期接種の対象で、公費で受けることができます(自己負担は0円)。

HPVにはいくつかの種類(型)があります。サーバリックスおよびガーダシルは子宮頸がんに関して発がん性の高い種類であるHPV16型と18型の感染を防ぐことができ、それにより子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます。またシルガード9は、HPV16型と18型に加え、発がん性のある31型、33型、45型、52型、58型の感染も防ぐことができ、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。

HPVワクチンを接種することにより、子宮頸がんの前がん病変を予防する効果が示されています。また、接種が進んでいる一部の国では子宮頸がんそのものを予防する効果があることもわかってきています。

HPVワクチン接種のスケジュールについて

一定の間隔をあけて、同じワクチンを合計2回または3回接種します。接種するワクチンや年齢によって接種のタイミングや回数が異なります。どのワクチンを接種するかは当院までご相談ください。3種類いずれも1年以内に規定回数の接種を終えることが望ましいとされています。
詳しくは下記、岐阜市のホームページも併せてご参照ください。

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン|岐阜市公式ホームページ (gifu.lg.jp)

インフルエンザワクチン

インフルエンザは頭痛、くしゃみ、鼻水、咳、などの風邪と似た症状を呈しますが、さらに38度以上の高い発熱や強いのどの痛み、また関節痛や筋肉痛など全身の症状が現れ、多くの場合、急激に発症し悪化するのが特徴です。

通常、安静にして水分や栄養をしっかり取っていれば1週間~10日で症状は改善します。ただし、高齢の患者さまなど免疫力が低下している方や、呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病などの持病がある方はインフルエンザにかかると重症化する危険性があります。

高齢者の方の場合、インフルエンザに肺炎を合併することが少なくなく、重篤化して命に関わることもあります。また乳幼児や小児は急性脳症を併発する危険があり、こちらも命に関わる場合や、また後遺症のリスクもあります。インフルエンザの予防接種はこのような合併症を避けるためにも大切です。
また妊婦さんの場合もインフルエンザに罹患すると重篤な合併症を起こしやすいとされており、心肺機能が低下して入院するリスクは産後と比較し、妊娠週数とともに増加するという報告もあります。また妊婦さんがインフルエンザに感染すると自然流産や低出生体重児、早産などの増加も認められています。上のお子さまやご家族を通じてインフルエンザに感染するリスクもありますので予防接種をしておくことがよいでしょう。

産婦人科学会では妊娠中のインフルエンザワクチンの接種を推奨しており、特に、妊娠4か月をすぎた妊婦さんにはインフルエンザワクチンを接種した方がよいと言われています。また、妊婦さんがインフルエンザワクチンを接種することにより、生後 6か月まで赤ちゃんのインフルエンザ罹患率を減少させるという報告もあります。生後6か月未満の乳児に対するインフルエンザワクチン接種は認められていないため、妊婦さんへのインフルエンザワクチン接種はお母さんと赤ちゃん双方に利益をもたらす可能性があると考えられています。

インフルエンザウイルスは毎年変異し、その構造を変えるため、ワクチンの株も毎年変更されていますので、毎年、予防接種する必要があります。接種したワクチンが効果を発揮するまでの期間は約2週間で、効果の持続期間が5カ月ほどですので、毎年の流行前の11月中旬くらいに接種するのが望ましいとされています。